タイトルのつけ方超思考術4〜リアルにイメージをこめる3つの技

タイトルのつけ方,思考術,イメージ,情景描写

ライティングにおいて、
最初に目に入るタイトルのインパクトはとても大切です。

 

「お、何だろう?」とまず関心を惹きつけるには、
タイトルの中に情景をありありとイメージさせる表現をすることは
かなり効果的です。

 

そのテクニックとは?

 

情景描写の絶大な力

 

前回の記事では、数字を利用する思考についてお伝えしました。
数字は、具体性と現実性を提供し、タイトルに目を惹きつける力があります。
この、数字の力と併用して、
具体性をアップさせる効果として使いたいのが、

 

状況をリアルに描く、情景描写の思考法です。

 

俳句の宇宙とは

 

タイトルというのは、短い言葉です。
このみじかい中にも、
具体的で写実的な情景を描くことは、
インパクトを出すうえで大きな力になります。

 

 

この「情景描写」を、短い中に見事に表現した文化が日本にあります。

 

それは、俳句です。

 

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「古池や かわず飛び込む 水の音」

 

松尾芭蕉の一句ですが、
古い池の静寂、その中で響く、カエルが跳びこむ音、そして
書かれてはいませんが、その池の周囲の草木の香り、
風一つ吹いていない静かで澄み渡った空気などが
ありありとイメージされます。

 

 

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「殉教の 十字架の墓地 みかんなる」

 

これは、
わたしが中学2年の時に旺文社の俳句コンクールで文部大臣賞をいただいた作品ですが、
みかんの実がなるのどかな墓地の風景
その組み合わせが「殉教の十字架」であり、ユニークであるとともに、
江戸時代の、過酷な社会で殉教していったキリシタンの物語が
この短い一句の中で広がり、
あたかも歴史小説のようであると講評していただきました。

 

 

 

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「夕立を 避ける 鍾乳洞に入り」

 

これは、私の同級生が、同じく旺文社の俳句コンクールで最優秀賞である総理大臣賞を受賞した作品ですが、
夕立が降ってきた、傘を持っていない、
そしてそれを避けるため雨宿りしなければならない、
その雨宿りの場所が
店の軒先や、駅のホームなら感動しないが、
意外でユニーク、雨宿りの場所が鍾乳洞。
そして、この「鍾乳洞」の言葉から、
地下に広がる静寂で澄み切った世界が無限に続く。
そんな講評をいただいていました。

 

規則だらけの小さな窓に広がる宇宙

 

俳句というのは
5+7+5の合計17音の短いリズムの中に
情景をぎゅっと凝縮して表現します。

 

その短い中に、「季語」という、季節を表す言葉を入れるというルールもあります。
先の芭蕉の句では、「かわず」が初夏を表す季語ですね。

 

こういう、短い、規則で制約された言葉の空間の中に
無限の時間と空間を凝縮します。

 

言葉に表現されないその奥の情景の広がりを、言葉の向こうの宇宙を、
みじかい言葉の中に込めます。

 

まさに俳句という芸術は、情景描写の極致と言っていいでしょう。

 

しかし、
タイトルというのは、俳句ほどガッチリ規則づけられていませんから、
みじかくても、もっとリアルに情景を描写できるんです。

 

タイトルに情景をリアルに入れる

 

それでは、タイトルに情景を入れる秘訣は何でしょうか?
タイトルというのは
俳句よりも自由度はあります。

 

ただし、
ブログタイトルなどではスマホなどの画面に表示されるのは30字以内だから
俳句というより短歌に近い字数ですね。

 

5W1Hと感覚を表現する

 

俳句の場合、言わずに「想像させる」要素が多いのですが
ブログなどのタイトルでは、その制約がもっと緩やかです。

 

「みじかい中に、情景をコンパクトに詰め込んで、なおかつ想像させる」
ということで、
俳句よりリアルに情景を詰め込めます。

 

 

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いつ、どこで、だれが、だれに、なにを、そして どんなに
つまり5W1Hですね。

 

 

それがただ起きていたことを説明するだけではなく、
周りの状況はどんなだったか、

 

特に、
どんな風に感じたかという感覚的な表現は
リアリティーを増します。

 

みじかい言葉の中から
視覚、聴覚、触覚、音感、嗅覚、味覚まで
イメージできる

 

そういう言葉を盛り込めば、
インパクトは倍増します。

 

その時どんなだったかを自分に質問する

 

では、
例を挙げてみましょう。

 

たとえば
「炎天の暑い日」
というタイトルに情景を入れたらどうなるでしょうか?

 

その時の情景について自分に質問してみるといいです。

 

炎天で、どんな風に暑かったのかな?
暑くて何が起こったのかな?
その時どう感じたのかな?

 

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それで思いつきましたが、
例えば

 

「道路にこぼしたお茶があっという間に蒸発した日」
「さっき買ったばかりのソフトクリームが溶けて手がネバネバ」
「息を吸い込むと肺を火傷したと思うくらいのサウナみたいな日」

 

こうしたらよりリアルにインパクトありませんか?

 

もう一つ例をやってみましょう。

 

「気持ちのいい温泉」というタイトルに情景を入れたらどうなるでしょう。

 

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温泉に行った時の気持ちよかったことを思い出しましょう。
体にどんな感覚が起こったかな?
どんな景色でどんな香りがしたかな?

 

「ヒノキの香りに時間を忘れて2時間半も浸かってしまった温泉」
「雨上がりの山の緑の香りが気持ちよくてタイムスリップした温泉」
「お湯が絹のように柔らかくて体の芯までポカポカ温まった温泉」
「いつの間にか体中の力が抜けて寝てしまった温泉」

 

このように、
実際にどんなことが起こったのか
どんな風に感じたのかを
自分に質問し、その答えから、
写実的に表現できると、
タイトルのインパクトはより大きくなります。

 

実況中継のように状況を描写する

 

さらに、
なにかをして、感じている状況を、

 

実況中継のように具体的にタイトルに盛り込むという手法

 

も効果的です。

 

 

例えば
お寿司屋さんで味わった、おいしい大トロ。
「柔らかくて美味しい大トロにぎり」に情景描写を入れると
どうなるでしょうか?

 

このコツは、
グルメ番組や旅番組のレポーターのように表現することです。
レポーターは
実際に食べて、感動して、その感動を見事に言葉で表現しています。

 

 

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「口の中でジユワーととろける大トロにぎり」
「旨味がホヮ〜ッと広がって後味も続く大トロにぎり」
としたら
口の中の出来事がよりイメージできませんか?

 

 

 

たとえば
台風のタイトルはどうでしょう。
「強い台風」というタイトルに
実況中継中の気象ニュースレポーターになったつもりで
情景を盛り込んでみましょう。

 

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「この台風、ほっぺたを叩かれたような横殴りの雨が」
「あまりの風に両足が宙に浮いてしまった台風」

 

このように、
実況生中継の気持ちで
その時の情景や、状況を具体的に盛り込むことで
タイトルのインパクトがグッと迫ってくるのです。


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