ピンチをチャンスに変える3つの極意〜海抜26mパナマ運河の衝撃

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パナマ運河。

 

太平洋とカリブ海、大西洋を結ぶ船の交通の要衝です。
実はこの運河では、ほかの運河や海にはない特殊な体験をします。

 

この体験から得た気付きは物凄いのですが、
今回はその特殊な体験とは何か、どんなことに気づいたかをお話しします。

 

環境の変化はチャンスでもある

 

転勤や転職で環境が変わってしまった、
突然のリストラで環境が変わってしまった、
また最近では、コロナウイルスで環境ががらりと変わってしまった。
そんな事情で、

 

いろいろな困りごと、今までは困っていると感じていなかったことが
現実的な悩みになる、
そういう事は多々あります。

 

環境が変われば、
今まで自分の中で、気づかずにこびりついていたものが
浮き出てくる、はがれ出てくるということがあります。

 

無駄なこと、
進歩を邪魔していたこと、
有害なのに気づかなかったこと、
そんなことが見えてきたり、
実際に困ったり、耐えられなかったりします。

 

あまりの変化に混乱し、
「現実が見えてきた」
「とても達成できない」
と落胆してしまいます。

 

しかし、
これは、今まで浮き出てこなかったものが浮き出てきた現象であり、
この現象に正しく向き合い、
正しく理解し、
ガッツリと行動を起こしていくことで

 

 

自分が変わる大きなチャンスになるのです。

 

 

大きな変化ほど、
大きなチャンスになるのです。

 

パナマ運河での貴重な体験

 

私は船乗りのころ、ハワイを出港し、太平洋を東に向かい、
カリブ海から大西洋に抜けてアメリカの東海岸に入港するため、
パナマ運河を通ったことがあります。

 

実は、パナマ運河は、
世界中で他の運河にはない、特殊な運河なのです。

 

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大きな船がビルの10階まで駆け上がる

 

あなたは、6000トン級の大きな船が、
ビルの10階まで上がることをイメージしたことがありますか?

 

「そんなのあり得ない」って?

 

 

 

実はパナマ運河は
山岳地帯を切り拓いて開拓された運河で、

 

水門に入ったら、その水門が閉じられて水が注ぎこまれ(注水)
水位を上げて、次の水門まで進み、

 

そこでまた水が注ぎこまれて、さらに高い標高の中を船が進み、
階段のように水門から水門へ移動して

 

最終的には、海抜26mの標高のガトゥン湖という人造湖まで
船が「登山」します。

 

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海抜0mから26mに上るということは
地面から一気に、ビルの10階まで登るということです。

 

これだけなら普通の体験ですが、
海抜26mまで進んだところで、通常では考えられない現象が起こってしまった!

 

パナマ運河のことを甘く見ていた。

 

 

 

海抜26mの人造湖で起こった異変

 

パナマの太平洋岸、バルボア港に仮泊していたわが船は
いよいよ、

 

 

パナマ運河の太平洋側の入り口、アメリカ橋をくぐり、
ミラフローレス水門へ。

 

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船の両側をワイヤーで牽引車につなぎ、
水門に入って、注水が始まった。

 

ダムの底からだんだん水が増して上がってくるように、
水門の中の水が満たされていく。

 

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船は、水門から水門へ。

 

ペドロミゲル水門を過ぎると、
風景は濃い緑の断崖絶壁。

 

狭い。
まるで崖から怪獣が襲ってきそうなほど狭い。

 

ここは、ゲイラードカットという難所で
土砂崩れなどで開拓には大きな犠牲があったという。

 

本当に「登山」しているんだあ〜っ!と感じたが、
感心している余裕はない。

 

ゲイラードカットの断崖絶壁を無事通り過ぎ
そして
目の前は広い湖が広がった。
とうとう、海抜26m、ガトゥン湖だ。

 

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異変はここで始まった。

 

ジャングルに囲まれた晴天のガトゥンン湖

 

 

ガタガタ!

 

ガタガタガタガタ!

 

船がけいれんしているようだった。

 

パナマ運河での異変の秘密とは

 

「放水用意!」

 

機関長のけたたましい号令が船内に響いた。

 

「放水はじめ!」

 

船内のすべての管が開かれ、

 

甲板からものすごい勢いで、ジェット噴射級の放水がはじまった。

 

 

そう。

 

 

この異変は、事前に予測済みだった。

 

 

パナマ運河の最高標高のガトゥン湖。
ここは実は
淡水湖だったのだ!!!!!

 

異変の秘密はここにあった。

 

船垢が一気に剥がれ落ちる驚異

 

海水にずっと浮かんでいた船が
急に淡水に移動したら何が起こると思う?

 

長い期間海水の中にある、船底や
船の中の海水パイプの中には、
小さなカキやフジツボなどの海中生物が住み着き、
船内の海水のいろいろな流れを邪魔している。

 

それが、
環境が急に淡水になることで
カキやフジツボが剥がれ落ちる。

 

一気に剥がれ落ちる。

 

それに気づかずに、のほほんと船を運航していると
大変なことになる。

 

海水パイプに詰まりが起こり、
最悪の場合、機関が壊れる。

 

だから、この剥がれ落ちたカキやフジツボを、
高圧水流で一気に外に出してしまう。

 

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この高圧水流での放水は
ガトゥン湖での異変を知ったうえで、
むしろこの異変を利用しようと
事前に計画していたこともあって、

 

機関長の号令で一斉に放水を始めたわけです。

 

一斉放水後の効果

 

こうして、
カキやフジツボがはがれたタイミングを見て
間髪なしに、一気に放水をする。

 

その結果、
今まで、気づかぬうちに管の中や船底に張り付いて
こっそりと船の機関効率を邪魔していたものが一気に剥がれるので

 

船内も船底も新造船のように清まり、
機関効率はアップし、
カキやフジツボが増殖しすぎて故障するリスクもなくなり、
燃費節約、
レスポンス向上につながっていきます。

 

こうして、ガトゥン湖で一斉放水して
まるでダイエットで宿便がどっと出た後のように
中も外もスッキリした船は

 

ガトゥン湖から再び運河の水門に入り、
カリブ海へ抜けるために、
水位を下げながら、水門を通過していく。

 

そしていよいよ、
カリブ海の広い海が広がった。
双眼鏡で対岸を見ると、
スペイン風の大きな教会が。

 

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とうとう抜けたぞ!
あちら側の世界へ!!

 

新しくなった船は
夢と希望で、全速前進しました。

 

ガトゥン湖での体験からの気づき

 

 

このガトゥン湖での体験は
今になって思考すると、多くの気づきがありました。

 

ガトゥン湖で何が起こったか、
それは、海水から淡水への急激な環境の変化です。

 

そして急激な環境の変化の結果、噴き出てくる、
今まで気づかなかった事ごとです。

 

そして、それを、ちまちまと取り除いたのではなく、
一気に高圧水流で放出したことです。

 

生活や仕事での環境の急変で起こること

 

私たちの仕事や家庭環境でも、
大きな環境の変化や、状況の変動が起こることがあります。

 

転勤、出向、リストラ、
テレワーク、
引っ越し
病気や、親の高齢化
事業の倒産、
家屋の被災、
子育てや進学

 

こういう日常のあらゆる場面で環境の急変が起きえます。
今や、コロナウイルスの流行や、台風、自然災害の増加で
あらゆる場面で環境の急変が起こっています。

 

そうしたときに
今まで気づかなかった問題が急に表面化し、
それが表面化したら今度は、家族関係、職場関係がぎくしゃくし、
「もう耐えられない」
ということになります。

 

ここで
「もう耐えられない」と延々とのたうち回るのか、
この現象に向き合って、一気に行動するのかで


先の過ごし方の質が変わってきます。

 

浮き出てきた問題に向き合う

 

こうして一気に表面化した問題。

 

「なんてことだ!」と思ってしまうかもしれません。
しかし、

 

問題は以前からあったわけです。

 

それが表面化しないので
気づかなかっただけです。

 

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そして、環境の激変をきっかけに、
潜在的に
内部に潜んでいた問題が、目に見えてきた。
浮き出てきた。

 

しかしこの問題は
たった一度の人生で
どこかで向き合って成長していかなければならないと、
自分の潜在意識は知っているわけですよ。

 

自分の潜在意識は
自分自身も気づかないけれど
人生の目的を知っているわけですよ。

 

これまで、棚に上げ、目をつむり、
見ないようにしていた問題を

 

いま「見せていただいた。」
いま、「それを解く時機をいただいた」

 

このことを思惟するのと、
ただ、混迷し、あたふたして苦しむのとでは

 

表面化した問題の意味が違ってくるんです。

 

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ピンチをチャンスに変える圧倒的行動とは

 

こうして
今までのように、避けたり目をつぶったりするのではなく、
しっかり問題を「覚知」し
それに向き合い、

 

では
今自分は何をすべきかを、思いを巡らせ、
いま取り組むべきことは何か、
棚に上げておくことは何かを選び、

 

いますぐ改善すべきこと、対処すべきことを認識したならば、

 

中途半端にではなく、
果敢に、ガッツリと、大きく行動する。
これが大切だ。

 

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ガトゥン湖での一斉放水も
中途半端な水圧なら、カキやフジツボがさらに詰まってしまうから、
最大水圧で一斉放水して、ズババババーっと放出したように、

 

 

浮き出た問題に対し
今すぐ行動すべきことは
はっきりした行動で、ハイテンポで圧倒的に対応する。
こうすることによって、

 

今の環境の激変というピンチが
あなたが成長する大きなチャンスに変わっていきます。

 

成長というのは
気づかなかった家族関係の危機を乗り越えて、
温かい家庭を再び築けるようになることかもしれない、

 

新しく挑戦するビジネスが成功することかもしれない。

 

どんな形にせよ、
このピンチは、

 

必ず

 

かならず、

 

あなたの成長のチャンスになっていきます。

 

魂の成長に向けて

 

私は大学で佛教福祉論を学んだり、僧侶過程の学友とも親しく話しましたが、
仏道修行に取り組んでいる学友から
こんな話を聴きました。

 

「修行していて、
その途中で、いろいろなつらい出来事が起こったり、
自分の嫌な面が見えてきて押しつぶされそうになったりする。
それをいかに、感謝と喜びで、いただくかで、
修行の結果が変わってくる」

 

このことについて、
スクーリング先の宿坊で一晩彼と語り明かしましたが、
彼はこんな説明をしてくれました。

 

魂を清める、因縁を消除していく過程で、
自分の中や背後にくっつき、
ひっそりとこびりついていた悪念や因縁が噴き出て、
自分の行動だけではなく、
現象(自分の周りの出来事)にも表れることがある。

 

こうした因縁意識(魂の成長を邪魔する悪い思考や癖)は
ずっと自分に、こびりついていたいと思っているわけで、
変化されて消されることに抵抗する。

 

これに振り回されず、
一心に自分を清める。
噴き出た因縁から、自分を知り、対峙し、
それを一気に清め、因縁から自由になる。

 

そうすると
魂の奥深くは
感謝と喜びの境地のレベルへ上がる。

 

どんなに理不尽な運命も、
苦しみも苦悩も、
感謝と喜びでいただける霊格に上がる。

 

こうして悟りの段階を登っていき、
究極の自分自身と出会うことが仏道修行の目的だ。

 

彼はそう熱く語っていました。

 

 

このお話を聴いたのは
ガトゥン湖での体験から十年以上たってからのことでしたが、

 

「ああ、あのときのことは、
こういうことだったのか」
と自分の中に腑に落ちたんです。

 

まさに、
スティーブ・ジョブズが言われた
「点と点がつながった」
わけでした。

 

この記事のまとめ

このお話をまとめましょう。

 

パナマ運河では、海水から淡水に移るという大きな環境の激変があった。
その時、海水の中で船底やパイプにこびりついていたカキやフジツボが、一斉に剥がれ落ち、機関故障のピンチになった。
このピンチをチャンスととらえ、淡水で一斉に高水圧で放水したことで、長期にわたりこびりついていた船垢が一斉に剥がれて飛び去り、船は新造船のように軽快になった。

 

この経験を、私たちの生活やビジネスに当てはめると、
どんな意味や学びがあるのか、
それについて思考したら

 

以下の3つの極意に気づきました。

 

環境の激変で浮き出てきた問題は、今まで気づかなかっただけで、前からあった問題だ。これを前に、ただ苦しみ困るだけなのか、表面化して見えてきたものをしっかり見つめるのかで、その先が変わってくる。
この問題に向き合い、自分自身を知ることで、今まで自分が夢見ていた人生の大きな目標に近づくステップとなる。
問題を知ったならば、どう行動すべきかを選択し、決めたことを圧倒的に迅速に果敢に行う。

 

こうして、環境の激変やピンチは、チャンスとなる。
だから、
これからも襲ってくるかもしれない環境の変化やピンチに対し、

 

前向きな思考で取り組んでいきましょう。


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