水害、地震などの大きな災害で避難した方へ〜避難所で安心して過ごす秘訣

熊本、鹿児島などの九州南部や佐世保、長崎、北九州、さらに岐阜県や長野県で先日から降り続く大雨で、
避難所に多くの方が避難されています。
この記事では、避難所に着いてからそこで過ごすための秘訣を、
DWAT(災害派遣福祉チーム)の一員としてお話しします。

 

九州豪雨地域に災害支援員をまだ派遣できない?

 

球磨川流域の被害が想像以上に深刻化し、長崎県や福岡県でも大きな被害が続いている中、
私たち京都DWAT(京都府災害派遣福祉チーム)も一刻も早く駆け付けたいのですが、
京都府に問い合わせたところ、チーム派遣は県外移動になるので
いまのところ、チーム員へのコロナ対策の講習が未実施で、
また京都府にもコロナウイルス感染患者がいるという状況から、
チーム派遣ができないという回答でした。

 

こんなところにも、コロナの影響が・・・?!

 

 

しかしいずれ、県外からの支援が必要となるでしょう。
かならず、コロナ対策をしっかりしたうえで、支援者は派遣されると思います。
なお、日本社会福祉士会では、7月6日に九州南部豪雨に対する災害対策本部が設置されました。

 

 

それまでのあいだ、
現地の看護師、社会福祉士、介護福祉士など専門家の皆さん、
持ちこたえて頑張ってほしい。
本当に、 
心から
こころから
祈る。

 

(先日より消息が絶え、心配していた古代笛の師匠の無事がやっと確認できました。
ああ
嗚呼!!!
よかった!)

 

こういう事情で、
この記事は、自分が支援に行ったつもりで、
避難所にいる人のお悩みに答えるつもりで書きました。

 

あなたはまだ避難の状態にないかもしれませんが、
今読めるうちに、この記事を読んで頭に入れてほしい。

 

パソコンとスマホが流されても、この記事の内容をあなたの頭にインストールし、
いざとなったら命を守ってくれ!

 

理解してもらうことと理解することの工夫

それでは、
あなたが避難所に到着して、あなた方ご家族の過ごす区画が決まったと仮定してお話をすすめましょう。
そこでどうやって過ごしていこうか・・・

 

避難所に行けば、いろいろな人、知らない人と隣通しでしばらく過ごすことになります。

 

「え?
隣も向かいも、知らない家族だらけ・・・・
どうしよう・・・」

 

「娘は戸惑ってしまって、こんな環境にとてもなじめないわ・・・」

 

ここで大切なことは
必要最低限のことについて、
周囲の人を理解することと、
自分のことを理解してもらうことです。

 

 

先日投稿した記事にも書いたとおり、
(災害発生後の避難所で、あなたと家族のために配慮してもらう知恵)

 

 

自分や家族について配慮の必要なことを
紙に書いておくなどの工夫をしましょう。

 

いろいろな人に同じことを口で説明するのは
気持ちが萎えるから、メモや貼り紙を作りましょう。

 

 

また、あなたと同じく、
周囲の人もまた、配慮が必要なことがあるかもしれないです。

 

 

一見しただけではわかりません。
もし「迷惑だ」とか「不公平だ」と思っても
一歩立ち止まって考えてみるようにしよう。

 

トラブルには職員に対応してもらうこと

 

このように逆に
周囲の人も、口では説明しづらいいろいろな事情があるかもしれません。

 

たとえば、隣の区画で
子どもがはしゃぎすぎてうるさいなどがあったとして、
もしかしたら、発達障害のお子さんかもしれません。

 

たとえば
隣の区画の高齢の方が
しばしば、区画なんか関係なしにあなたの場所にやってきては
物を勝手に持っていくとしましょう。
実はその方は「認知症」で、区画のことなどが分からないかもしれません。

 

 

あるいは、ある家族だけトイレに近い場所にいて、
「こんなの不公平じゃないか!」と思ってしまう。
でも、その家族には、内部障害(内臓や泌尿器などの障害で一見わからない)のある方がおられるかもしれません。

 

それを知らずに、隣の区画にいるご家族に直接苦情を言う、
または感情的にカッとなってものを言うと
傷つけてしまうかもしれません。
また、口論になり、その後、気まずい雰囲気が続くのは
ぜったいに避けたいです。

 

こうしたことは、プライバシーのあることなので
言ってもらえませんしわかりません。

 

確かに、不公平感や、苦情も感じられると思いますが、
何らかのご事情があるかもしれないと、まず考えてほしい。

 

でももし、どうしても耐えられない苦情やトラブルがある場合は、
直接そのご家族に言うのではなく、直接口論せず、
ビブスをつけた避難所職員に相談しましょう。

 

かならず、あいだに立って調整してくれます。

 

 

家族に介護や医療が必要な人がいる場合は福祉避難所への移動を希望しよう

 

避難所には、一般避難所と福祉避難所があります。
一般避難所は、学校の体育館などに設けられ、
福祉避難所は、医療・福祉的なケアが必要な人のために老人ホームなどに設けられます。
通常、福祉避難所に直接には避難できません。
一般避難所にまず避難して、そこで必要性があれば、福祉避難所に移動します。

 

しかし、
熊本地震では、その分類も困難なことも多くあったと聞きます。
家族に要配慮の高齢の方がいる場合などでは
まず一般避難所に避難したのち、
市の職員に、福祉避難所への移送を希望するという手続きが原則として必要と案内されています。

 

(ただし、危険が迫っている場合はその限りではありません。)

 

もし、一般避難所に行って、あなたやご家族に配慮が必要な場合は
決して遠慮せず
状況を職員に伝えて希望してください。

(体が弱い、ご高齢などの事情でも、福祉避難所が満杯で移動できない場合、配慮してもらうよう希望しましょう。簡易ベッドのある区画に優先的に案内してもらえます。)

 

希望することによって、配慮されます。

 

万一、希望者が多くて福祉避難所にすぐに行けない場合でも
最大限の配慮がされます。

 

もし、あなたが目や耳などが不自由でコミュニケーションに支障がある場合でも
避難所の受付では、しっかり配慮してくれますので、
受付職員に希望することをしっかり希望しましょう。

 


(例えば、耳が不自由な方には「トークエイド」を使う、筆記を併用するなどで
その人のハンディに応じた配慮がされるので安心してください。)

 

避難所では心と体のケアが大切

 

水分をこまめに取ろう

避難所に行ったら
ビブスをつけた職員が、お水のペットボトルを配ってくれます。
かならずもらって
水分はこまめに取ってください。

 

 

でも
トイレ事情が悪いから水分を取らない人が多いようです。

 

ひとつ、勘違いしないでください。

 

水分を取らないことでトイレに行かなくて済むということはないのです。

 

水分を取らないと、
「脱水症状」という症状があらわれて、いろいろな内臓に負担がかかります。

 

脱水症状と
運動不足による症状
これらが重なると、いろいろな症状が現れますので(症候群)
気をつけてほしいんです。

 

避難所生活で、一番心配なのが
動かないことと、水分バランスの崩れで、
エコノミークラス症候群と同じようなことが起こることです。

 

ふくらはぎや膝などの血管の中に、血の固まり(血栓)ができ、
それが体の中を流れて心臓に詰まったり、脳に詰まったりしたら、

 

命にかかわることも。(心筋梗塞や脳梗塞)

 

だから、水分補給とちょっとした運動
これが大切!

 

ちょっとした運動をこまめにしよう

「ショックで体も動かしたくない」
その気持ちは、わかります。

 

でも、
いくらショックで、ふさぎ込んで動きたくなくても
動いてください。
体を少しでもいいから動かす、体操する

 

これが大切です。
でも、
危険な場所は逆に歩き回れない。
「どうやって散歩すればいいの?」
だから、
職員の案内する体操や、レクリエーションに参加しましょう。

 

「面倒くさい」とか「それどころじゃないよ」と思わず
レクリエーションや体操には参加する。
水分はこまめにとる。
それはあなたと家族を守るために必要なことです。

 

レクリエーションに参加しよう

レクリエーションは、一見遊びのように見えますが、避難所生活では、とても重要で効果的です。
なぜなら、身体の健康維持、心の健康維持の上で、大きな効果があるからです

 

一つは、体を動かさなくなってしまう事のいろんな弊害を防いでくれます。
災害の時、落ち込み混乱している中で、頭を抱えてじっとしてしまいがちです。
そんなときに、
「はい、皆さん、体操しましょう」という声掛けに、
だるくても応じましょう。

 

落ち込んでいても、何となく体を動かしましょう。

 

それだけでも、避難生活でさらに病気になるリスクを防げます。

心のケアにもレクリエーションが威力を発揮する

また、
レクリエーションは心の上でも重要です。
何もせず頭を抱えていると、
心が煮詰まってきます。
そうしたら、悩みから脱出するためのアイデアも思いつかなくなります。

 

レクリエーションは
「こころのガス抜き」にもなるのです。

 

「とりあえず、歌体操をしてみよう」
と、
ちょっとやってみる。
参加してみる。

 

つぎつぎとめくるめく悩みや不安を、さておいて、
歌体操をしているうちに、
心の中でいっぱいいっぱいになった「不安」のガスが抜けます。

 

 

心のガスが抜けると
パンパンに張りつめた
「マイナス」の気持ちからフッと離れることができ、
アイデアも浮かびます。

 

発想の転換〜レクリエーションで友達作り

また、周りにも声かけましょう。
もしかしたらあなたも、レクリエーションを披露できるかもしれません。

 

レクリエーションをしている間だけでも
気を紛らわせてほしいんです。

 

ゲームでもいい、手遊びでも歌でもいい、

 

「なんだ、ばかばかしい」と思わずに
例えば、近くの子供に遊んであげるような感覚で
ばかばかしいと感じても、参加してみましょう。

 

発想を変えてみましょう。
避難所で、いろいろな人と触れ合えるんです。
交流ができるんです。

 

「避難所に行くことになってとんでもないことになった」という発想を変え
逆転の発想で
レクリエーションもできるし、
いろんな人と触れ合える場だなあと思ってください。

 

この記事のまとめ

 

この記事では、あなたが避難所に到着してから
どんなことに気をつけたらいいか、その秘訣をお伝えしました。

 

避難所では知らない人同士が、すぐ隣で過ごすけど、みんなそれぞれの事情があることを理解して過ごそう。
それでも耐えられない苦情があるときは、直接その方に言わず、避難所の職員に相談しよう
家族に医療や福祉で配慮が必要な人がいる場合、福祉避難所への移送を希望しよう
避難所生活では、水分をこまめに取ろう
体をこまめに動かそう。そのためにレクリエーションには参加しよう
レクリエーションは健康維持と「心のガス抜き」に力を発揮するよ
発想を転換しよう〜避難所は楽しい交流の場

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