ひな祭りの朝日を浴びて〜苦しい人生を勇気に変える記事

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おひな祭りの朝に天国に上がっていったきみは、まだ9歳だった。この記事は、ただ可哀そうな話ではなく、あなたの人生を変える力があると私は確信しています。生きる力、生きる思考、より豊かに生きるための気づきをくれることでしょう。

 

 

ひな人形 それはいのちのかたち

 

雛人形を見るたびに、私は思うんだ。
3月3日の朝6時5分に、朝日のかなたに昇っていった君のいのちを。

 

雛人形、それは、
私にとって
いのちの形なんだ。

 

まず聴いてください。涙をこらえられずに吹いた即興創作曲を。

 

古代出雲笛 創作曲「雛人形の涙」です。
https://youtu.be/XVzG2dl8yhg

 

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最後まで楽しみぬいた学校で

 

いつもお雛祭りがきたら
思い出すんだ。
ひな祭りの朝、天国に召されていった
9歳のきみのこと。

 

酸素マスクでも流ちょうに英語を話せたね

 

お雛祭りの前日、いつもの院内学級。
きみは、みんなと勉強したいと言って、
酸素ボンベをつけてベッドを動かしてもらって通学した。

 

その日は、英語の特別授業で
イギリス人の先生が来ていた。
「何か英語を言える子、手をあげて」

 

きみはいつも、立候補が大好きで
クリスマス会の時も、司会を立候補して、みごとにできたっけ。
今回も
やりたがりのきみは、酸素マスクしながら手を挙げた。

 

何か英語を言えるかな?
きみは、酸素マスクの奥から「ヘイ」といった。
みんなを笑わせた。

 

「グッド イングリッシュ!」先生に褒められた。

 

きみは、冗談言ってみんなを笑わせるのが大好きだったね。

 

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ウノ選手権 連続優勝!

 

放課後、
みんなでウノ大会をした。
今までなかなか勝てなかったもんね。

 

負けるたびに、ご機嫌ななめだったけど、
売店で買ってきたリンゴジュースがおいしかったら、すぐにご機嫌になったから、
きみはとっても単純だねと笑ったもんだ。

 

 

今度は勝つぞ!

 

 

もう手が動かせなかったから、
私がカードを持ったが、
何を出すかは、きみはしっかり私に指示した。
それで、7人くらいいたメンバーの中で

 

なんと!

 

きみが優勝したじゃないか。
それも2回も。

 

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おひな様見せて

 

夕方、病室に戻ったが、お雛様を見たいときみは言った。

 

病室に戻る前に
プレイルームに一緒に行ったね。

 

つぶらな目で、きみはお雛様をじっと見ていた。
可愛い目だった。
でもこの目の奥にどんな気持ちがあったんだろう・・・

 

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「さあ、疲れるから病室に戻ろうか」
私が言うと、きみは泣きそうになった。

 

「本、読んで」ときみは、僕にせがむ。

 

プレイルームにあった絵本を何冊か読み聞かせた。
そしたらきみは、

 

「手を握って」と
泣きそうにせがむ。

 

じっときみの手を握った。

 

生きて生きて生き抜いた夜

 

神様がくれた最高のごちそう

 

夕食。
いつもと違うごちそう。

 

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これまで、食べたいのに食べられなかった
きみの大好きなマグロのおつくりが出た。

 

うれしそうに口に運ぶ。
でも、すぐしんどくなってこれ以上食べられない。

 

食べたいのに食べられなくて、
つらいよね。
ホント、辛いよね。

 

きみは泣きそうだった。

 

こともあろうに、
私は「もうこれくらいにしておこうか」と言ってしまった。

 

そしたら
「もうこれぐらい・・・
もうこれぐらい・・・・」
きみは涙を流して言っていたが
私の心ない一言で、楽しいごちそうの時間が終わった。

 

どうしたら楽ちんになれるの

 

消灯。
ベッドの姿勢を、どんなに変えてもきみは苦しい。

 

 

ギャッチレバーを回して、ベッドを起こしたり、寝かせたり。

 

きみはとぎれとぎれに言う。
「起こして」「ハイ、止めて」「寝かせて」
繰り返しベッドの起こし具合の角度を変えた。

 

そして、
酸素マスクが外れそうになったらきみは苦しくて、
私は
きみのほっぺにぴったりくっつくように、酸素マスクを押さえた。
あざができるほど。

 

きみは、生きたいんだ。
わかる。
生きたいんだよな。

 

生きられますように

 

何か月か前、まだ病院から外出できた時だ。

 

僕はきみを教会に連れて行った。

 

静かな教会で
「なんでもいいから、祈ってみ」と僕は言った。

 

きっと、何かのおもちゃやゲームを買ってほしいと祈るだろうと思っていた。
そう祈ったら買ってやろうと思っていた。
そうしたら、きみはこう祈った。

 

 

 

「生きられますように。」

 

 

 

こんなに小さなきみが、ここまで思っていたのか。
ぼくは心を痛めた。

 

思わずきみを抱きしめた。

 

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命いっぱい呼吸して生きて頑張って

 

もう0時を回って、3月3日、お雛様の日になった。

 

きみは必死で呼吸した。

 

マラソン選手よりも、アスリートよりも、
必死で
命がけで呼吸した。

 

呼吸して、呼吸して
心臓を動かして、動かして、

 

ずっときみのそばについていた。
でもいつしか僕はうとうとしてしまって・・・

 

このことについては、今も僕は君にごめんなさいと言いたい。

 

そして、看護婦さんたちがバタバタ入ってくる足音で
ハッと目が覚めた。

 

詰所のモニターで呼吸の異常に気付いた夜勤の看護師さんたち。
でも
もうきみは話すこともできない。

 

人工呼吸を試してみる、
当直のドクターが強心剤をうってみる、
「反応が弱い」とドクターは言う。

 

でも僕にはわかる。
きみが生きようとして
力のない心臓の力を振り絞って動かしているのが。

 

病室の窓の外が薄明るくなってきた。
ひな祭りの早だ。

 

いつしか、モニターの波がツーっと平坦であることに気づいた時、
きみはもう
息をしていなかった。

 

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溺れるように生きて生きて、息をし続けたきみが。

 

その後のことはあまり覚えていない。

 

主治医の先生が駆けつけてきてくれたようだ。

 

 

 

 

 

「6時5分。臨終を確認しました」

 

 

 

 

 

眉間にしわを寄せて悔しそうに言った主治医の声。
きみは、まるで溺れたように、必死で口を開けたままの表情だった。

 

「ウソだろう???」

 

涙を流すのを忘れていた私。
「奇跡の一つくらい起こってくれ!」

 

奇跡は起こった

 

最期のプレゼント

 

 

奇跡は起こった。
命がよみがえったわけではない。

 

 

溺れるように苦しそうだったきみの表情が
気が付けば、
天使のようにかわいらしく微笑んでいたんだ。

 

きみが、いのちの終わった後に、僕にくれた
最後のプレゼント。

 

本当にかわいらしい笑顔になっていた。
これを奇跡と言わずにどう表現するの?

 

命を、自分のいのちを
大切に大切に生きたきみへの
神様からの表彰に違いない。

 

 

涙を流すことすら忘れていた私だったが、
主治医の先生は
涙をぽろぽろ流しながら

 

「この子は
病気に克った。」

 

と言われた。

 

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懐かしい学校についた

 

病院を後にして
運搬車は家に向かった。

 

白い布に包まれたきみが、
中から「学校に寄って」と言ったような気がした。

 

退院していた時に少しだけ通えていた地域の学校。
きみはこの学校でみんなといるのが大好きだった。

 

静かな春の夕方、
放課後の学校に運搬車が止まる。
私はきみの白い布から少し君の顔を出して、語り掛けた。

 

「帰って来たぞ。
学校やぞ。」

 

きみの顔は微笑んでいた。
うれしそうだった。

 

「やっと帰ってこれたなあ」

 

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みんなに勇気と笑いを

 

きみは、ただ苦しかっただけの子じゃなかったよ。

 

折り紙が好きで、無菌室を作品のギャラリーにしたね。

 

もう余命1か月と言われていたころ、
2回も開催できた折り紙展。
多くの人に勇気をプレゼントしてくれた。

 

きみの作品を見て、
ファンの一人の女の子から手紙が来たのを、覚えてるかい?
同じ病気で頑張ってて、きみの折り紙みて、
私も好きなことするよって言ってたじゃないか。

 

ギャグが大好きで、ポケモンのロケット団のずっこけブリが大好きで
亡くなる前日も冗談を言って笑わせてくれたね。
ホンマにきみは、おもろいやつだ。

 

亡くなる3か月前の検査結果では、
もう、歩けたり話せたりすること自体奇跡で、
普通の痛み止めでは無理だろうといわれていたが、

 

不思議に苦しみが少なく、痛みもなく

 

病室を渡り歩いて、ゲームボーイのケーブル対戦をした。
この対戦で、きみの「トゲピー」が「トゲチック」に進化したぜ!

 

「こんな状況なのに、これは説明がつかない」と主治医。

 

この子が自分らしく過ごせるようにと、
わたしの祈りが聞き届けられた奇跡だったのかもしれない。

 

きみは、周りの多くの人に笑いをくれた。
勇気をくれた。

 

でも
努力してそうしていたのじゃなく、
きみ自身が勇気で、お笑いだった。

 

天然お笑い坊ちゃんだった。(天国で怒ってんなよ!)

 

だから僕は今も
教え子たちや仲間たちに言っている。
こうして、きみたちがいること、
いてくれること、これが愛だよと。

 

白血病と戦って

 

ここで
きみがどんな病気と闘ったのかを僕は思い出して整理しなければならない。

 

きみは6歳の時に
急性リンパ性白血病を発病して、
9歳で天国に行った。

 

 

当時7割の子が化学療法で寛解する(つまり、再発さえしなければ治る)と言われていたのに、
きみは治療中に再発して、骨髄移植しか生きる道がなくなってしまった。

 

「おれの骨を全部あげてくれ!
おれの地は一滴のこらず、使ってくれ!」僕は先生に詰め寄って泣きわめいた。

 

 

しかし、骨髄移植のドナーには実の親もなれないんだ。
兄弟または他人で、骨髄の型の合う人からしか受けられないんだ。

 

厳しい話だがこれが現実だった。

 

最後の手段は
「臍帯血幹細胞移植」
つまり、赤ちゃんのおへその緒に含まれる血液の中に、血をつくる細胞があるので
これを移植すること。

 

ちょうどきみの従弟がもうすぐ生まれる。
そのへその緒の血をもらおう。

 

きみの従弟のお母さんは、協力してくれて
おじさんが大学病院まで、赤ちゃんのへその緒の血を安全運転して運んでくれたが、
残念なことに、適合しなかった。

 

でも、
僕も忘れないし、きみも天国で忘れない。
きみの命を救うために、おじさんもおばさんも、その赤ちゃんも頑張ってくれた。

 

大切なおへその緒の血はきみには使えなかったが、きっと、誰かの命を救っている。

 

 

そして
あのときの赤ちゃん、もう23歳になって、
若手シンガーソングライターになって人気を集めてるよ。

 

きみのいのちの分まで歌うと言ってくれている。

 

天国から応援してくれ。

 

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臍帯血幹細胞移植

 

従弟の「臍帯血」はマッチしなかったが、
きみは、骨髄移植を受けるために、大きな大学病院に転院した。

 

そこの病院は、まだ制度にはなっていなかったが「臍帯血バンク」を試行していて
(赤ちゃんのおへその緒に含まれる血液「臍帯血」を保存しておくセンター)
その「臍帯血バンク」から提供を受けて、無菌室での
骨髄移植をすることになった。

 

それで、移植の説明を受けた。

 

その説明を聞いて僕は倒れそうになった。
無菌室での骨髄移植で助かるのかといっても
そこは大変苦しい場らしい。
ひじょうに強い抗がん剤を使って骨髄の中の細胞を空っぽにして、
そこに新しい移植細胞を入れる。

 

どれだけリスクがあって、本人も苦しいのか・・・・
とても書けない。

 

 

そして始まった。
本当ならきみを抱きしめたい。
辛いだろう、苦しいだろうとなでてやりたい。
しかしそれができないんだ。

 

ガラス越しにしか見られないんだ。

 

無菌室で続けた作家活動

 

それでもガラス越しにきみは私におねだりしてきたね。

 

「今度は、『ももたに』の書いた折り紙の本を入れてえや。
折り紙も30枚以上は入れてくれへんと困るでえ。」

 

無菌室に物を持ち込むには、
何日か前に預けて本の1ページ1ページを丁寧に滅菌消毒する。

 

 

きみが「ももたに」と言って親しんでいたのは
桃谷好英先生の折り紙の教本で、
折り紙で街をつくったり物語を創ったりと、
ひじょうにストーリー性豊かだけど、とにかく大人でも難しい!

 

ひな祭り,メイク・ア・ウイッシュ,おひな様,古代笛,オカリナ,白血病,骨髄移植,夢をかなえる,難病(桃谷好英先生の、いろいろな作品は、大人でも難しいだけにチャレンジする価値がある!
画像引用:Amazon)

 

 

 

滅菌してもらって無菌室でゲットした、「ももたに」の本。
きみは無菌室で
せっせと桃谷先生の作品を折っていたね。

 

「次は『布施知子』の本を入れてえや」
ねだるきみ。
布施智子先生は、立体造形の折り紙のアイデアを世に出している有名な先生だ。

 

 

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(長野にアトリエを構える布施知子先生の折り紙の教本は
折り紙というより立体オブジェであり、
3次元的センスが豊かにあればより面白くなるものです。
私なんかわからなくて悩みましたが、あの子は組み合わせたりして応用していました。
画像引用:Amazon)

 

 

きみは、布施智子先生の本を開けるや、
無菌室の中で、何十作も複雑な立体造形を作り上げた。

 

ホンマ、
きみは子供ながら、研究熱心だった!

 

そして無菌室はいつしかきみの折り紙ギャラリーになっていたではないか!

 

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短かったけど面白かった日々

 

そして無菌室での戦いを戦い抜き、きみは無事に普通の病室に帰ってきた。
やがて退院して「維持療法」で通院治療になり、

 

地域の学校にも通えるようになった。
友達みんなも、先生も、きみを待ってくれていて、
みんな暖かくて、
きみは学校で本当に生き生きしていたね。

 

温泉にも一緒に行った。
髪の毛が少しずつ生えてきて、野球少年のように自然な頭になった顔を鏡で見て

 

「は〜あ、ようがんばった。」ときみは自分をほめていた。

 

「ホンマ、ようがんばったのう」
ぼくもこう答えながら爆笑したもんだ。

 

移植後再発を告げられて

 

世田谷公園を一緒にお散歩したり、
ソフトクリームも、それに何といってもきみの大好物のラーメンとタコ焼きも
いっぱい食べられた。

 

きみと食べたのが、僕は幸せだった。

 

しかし
「移植後再発」そう告げられたのは、忘れもしない夏。
しかも「フィラデルフィア染色体陽性再発」これは、
当時、何の治療法もないことを意味していた。

 

「もってあと3か月でしょう」
私の耳には、この言葉は雑音にしか聞こえなかった。

 

メイクアウィッシュオブジャパン

「難病の子の夢をかなえる」支援を受けて

 

ぼくが病院のソーシャルワーカーの紹介で
難病の子供の夢をかなえるボランティア
「メイクアウィッシュオブジャパン」を知ったのはそんなときだった。

 

 

 

きみには夢があったんだ。
折り紙の名人になって、
いろいろな人に折り紙の夢を伝えられるお医者さんになること。

 

「夢。
これからも生きて
勉強して
ぼくみたいに病気でくるしい子供を助けること。
病気の苦しいのは、ようわかってるから、
気持ちのわかる先生になりたいんや。
折り紙も教えてあげたいんや。」

 

きみは恥ずかしそうに、こうお話ししていたね。

 

「生きて行く夢」をかなえてほしい

 

ぼくは、さっそくメイクアウィッシュオブジャパンに電話した。

 

ここでぼくははっきり言った。

 

 

「余命が短いからと言われて頼んでいるのではありません。
彼は助かります。
そしてこれから大人になって、夢に向かってしっかり歩いてほしい。
だからメイクアウィッシュにその後押しをしてほしいんです。」

 

 

これはぼくが本気で言っていたことなんだ。
バカみたいに思われてるが、ホントなんだ。

 

 

医師は絶望的なことを告げた。
しかし、いろいろな本には、医師に告げられても、
いろんな医学以外の取り組みで、大人になっても元気にしている事例がある。
だからぼくははあらゆる取り組みをして
必ずきみを死から守る。

 

そう思っていたので
本気にこう言った。

 

メイクアウィッシュの事務局長も

 

「私たちのボランティアは、生きる力を応援するためのものです」

 

とはっきりおっしゃってくださった。

 

 

今思えば、支援を受けたのは、3月にきみが天国にあがる前の12月のことだった。

 

メイク・ア・ウィッシュ・オブ・ジャパンとは

 

ここで挙げた「メイク・ア・ウイッシュ・オブ・ジャパン」
いろいろなスポンサーの援助を受け、
難病の子供の夢をかなえている団体です。

 

ハワイへ行ってイルカと泳いだ子ども
遊園地を借り切って、ウルトラマンと一緒に怪獣をやっつけた子ども、
長年のあこがれのミュージシャンから個別にコンサートしてもらった子供・・・

 

 

「メイク・ア・ウイッシュ・オブ・ジャパン」の公式ホームページです。

 

メイク・ア・ウイッシュ・オブ・ジャパン 公式ホームページ
https://www.mawj.org/

 

 

こちらは古いサイトです。
http://www.imagene.jp/npo/mawj/mawj.html

 

 

 

動画は、メイク・ア・ウィッシュ・オブ・ジャパン CMメイキングインタビュー「夢の実現が僕の人生を変えた」で、この動画から活動の内容がよくわかると思います。

 

https://youtu.be/p2uauEEsWKI

 

 

 

そんな中で彼が願った夢は、

 

将来折り紙作家になるために
今、本を通じて学んでいる、尊敬している有名作家に来てもらって
直接指導を受けることでした。

 

特に、桃谷好英先生の本は難解で、あちこちに質問がありました。
(と言っても彼は、読んでわからないところは自分で作って、折り進めていました。)

 

夢は、その道中(プロセス)ですでにかなっている

 

夢をかなえる支援を受けるにあたり、
その夢をかなえる前に、
メイク・ア・ウイッシュ・オブ・ジャパンの事務局の人が
きみを訪ねてきてくれたのを覚えてるかい?

 

メイク・ア・ウイッシュ・オブ・ジャパンのルールでは、
メイク・ア・ウイッシュのソーシャルワーカーが病院に訪問し、
主治医の意見を聞き、
また本人に直接会うことになっている。

 

こういうわけで、きみのところに、3人のお客様がやってきた!
きみはもう大はしゃぎ。

 

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実はこの時からもうすでにきみの夢がかなっていたんだね。

 

というのは
ソーシャルワーカーの皆さんは、きみの折り紙を折っている姿を見て
優しく絶賛してくださったんだ。

 

それにきみはものすごく喜んで
「これ、トキエンさんの箱や」と
イタリアの重ね箱の折り方や
「桑名の千羽鶴」の折り方などを
得意げに説明し、披露していた。

 

この時の君のうれしそうな顔は今でも僕の記憶に焼き付いている。

 

折るたびに歓声と拍手、
ソーシャルワーカーの皆さんはとても優しく、楽しかったね。

 

 

一緒にいてくれること、
見守ってくれていること、
見てくれること

 

このこと自体が、きみの夢をかなえていたことを
なぜ僕はあの時気づけなかったのだろう。

 

 

その日、きみは、ものすごく喜んで
お客さんが帰られた後も、僕にもにいろいろ説明をし、

 

その夜、きみは微笑みながらすやすや眠ることができた。

 

この一日を今になって振り返ると、

 

夢というものは
結果や、かなえられた日のことだけじゃない、
夢に向かっている
その道程(プロセス)自体が
すでに夢がかなえられている姿なんだとつくづく気づいた。

 

「気づくのが遅いやんけ」という声きみの声が
天国から聞こえるようだ。

 

憧れの折り紙作家の先生に会えた日

 

 

夢をかなえる日
ちょうど、病院のロビーできみの折り紙作品展をしているところだった。
そこに、きみが以前から書籍を通じて学んでいた桃谷好英先生が来てくださった!

 

「素晴らしい、独特の世界が出来上がっている」と先生は絶賛してくださり、
病室できみは、先生に、本ではわかりにくかったところなどを熱心に質問していたね。

 

先生は、
「これから、自分で作品を作ってみなさい。
本はマスターしているから、
今度は創作にチャレンジしてみなさい」
と助言くださった。

 

同じ日、
日本折り紙協会の先生も来てくださって
折り紙検定2級の称号もいただいたじゃないか!

 

やったぜ!!!

 

なぜ1級じゃなかったのかって?
それはね、
これから病気が治って
さらに学んで
1級を目指してほしいという
みんなの願いからなんだ。

 

その日の夜、きみはとてもうれしそうにすやすや寝ることができた。
それはそれは、可愛い顔だった。

 

 

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(その日の夜の出来事は、
近年出版された本
大野寿子著『メイク・ア・ウィッシュ 夢の実現が人生を変えた』KADOKAWA
の101ページに記載されました。
画像引用:Amazon))

 

 

アーチスト・パートナーとして

 

 

夢をかなえてもらった喜びもあって、
さらに目的と希望が湧いてきたこともあったんだろうな、
きみは、検査結果が非常に悪いにもかかわらず、
楽しみに楽しんで折り紙を続けたんだ。

 

これはホントに驚きだった。

 

きみのベッドの周りは折り紙の遊園地になっちゃった。

 

「こんどは、街をつくるんや。
電車も走らせて、車も走らすで。
遊園地も作って、病気とかつらいことがない
天国の街をつくるんや。」
きみは目をキラキラ輝かせて折ってたね。

 

「来年は、公園いっぱいに折り紙の電車を走らせよう」こう言ってたじゃないか。

 

そしてもう一度、折り紙展覧会を病院のロビーで行った。
みんな感動したね。
折り紙もすごいし、オトコマエだし、きみのファンもたくさんできた。

 

そんな毎日を見ていた病院スタッフが、もう一度
メイク・ア・ウイッシュ・オブ・ジャパンに連絡。
そして
もう一人きみがずっとあこがれていた折り紙作家の先生、
布施知子先生が来てくださったんだよね!

 

おぼえてるかい?
布施先生は、きみと作品を見るなり、こうおっしゃった。

 

「きみは生徒さんじゃないよ。
同じ作家として、友人だよ。
アーチストとして、素晴らしいパートナーだよ」

 

本当にうれしい言葉だったね。
こんな素敵な言葉のプレゼントはないと僕は感動したが、
その意味を知ってか知らずか、
きみは、ちょこんとした小さな可愛い口で、微笑んでいたね。

 

きみは布施先生に、恥ずかしそうに語った。

 

「ぼくねえ、勉強して、お医者さんになりたいんや。
折り紙もいっぱい折って、
僕みたいに病気で苦しんでる子に
折り紙の楽しみを教えたいんや」

 

(布施先生は彼の余命のことを聞かされていなかったのでしょう。)

 

先生はにっこり笑って、
「作家友人として、一緒に折っていきましょうね」と言ってくださったね。

 

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でも布施知子先生が来てくださった1か月後、
きみは天国に上がった。

 

しかしぼくは思う。
きみは、
はたして
死んだのだろうか?

 

生きるってことは、愛だよ

 

そうじゃないと僕は思うんだ。

 

きみは死んだのではない。
生きたんだ。
生きて、生きて、
生き抜いたんだ。

 

これまで、治療で苦しいことが何度もあった。
背骨や骨盤にものすごい激痛の走る「ルンバール」と「マルク」という検査にも
よく我慢した。きみは強かった。
生死の境を乗り越えた無菌室での骨髄移植。
折り紙折ってたけど、ホントはものすごくしんどくて苦しかった。

 

 

 

 

でも
僕はよく知ってるよ。

 

 

きみは
生きたくないと一度も思ったことがなかった。
生きたいと思い続けた。

 

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きみを思うと、
ぼくは、苦しみを「苦しい」なんか言いたくない。
生きる命を、いのちいっぱい大切にしたいんだ。
こころから、そう思うようになったんだ。

 

きみの前では、
ウソも、ごまかしも一切効かないんだ。

 

この記事を読んでくれたあなたに贈りたい言葉の宝物

 

長い記事でした。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

 

一つ私は、あなたにお伝えしたいことがあります。

 

死後の世界、つまり天国が在るか無いかと議論されており、
「天国がある」というのは、
家族と死別した人が悲しみから避けるための気休めだと言われる方もいます。

 

しかし、実証を持って私はあなたにこう伝えます。
「天国は実在します。」

 

それは天の高くにあるのではありません。

 

「この世」とは違う、「あの世」にあるのでもありません。

 

私たちのこの空間に重なって存在しているというと
ご理解いただけるでしょうか?

 

 

頭では難解でも、きっと生きる実践の中で理解できると思います。

 

天国、すなわち、「永遠の喜びの生」は
生きて、生きて、いのちを大切に生きている、今生きている、
そのいのちの延長にあるんです。

 

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この文章を読んでくれた人たちに心から伝えたい。

 

自分のいのちを
これからも
大切に、大切に、
スープの一滴までなめ回すように生きてください。

 

私からのお願いです。

 

ひな祭り,メイク・ア・ウイッシュ,おひな様,古代笛,オカリナ,白血病,骨髄移植,夢をかなえる,難病

 

「生きるってことは、愛だよ。」

 

最後にもう一度、
私が涙を拭けないまま演奏した創作曲を聴いてください。

 

古代出雲笛 創作曲「雛人形の涙」です。
https://youtu.be/XVzG2dl8yhg


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