水害、地震などの大きな災害で避難した方へ2〜今後の不安を相談するには
この記事では、避難所に避難してきて、
次々と頭に浮かぶあなたの心配や今後の不安など、
いろいろな悩みの相談に乗ってもらうためのガイドをします。
避難所には、あなたを助けてくれるいろいろな専門職の人がいる
避難所には、いろいろなビブス(カラフルな色のチョッキみたいなやつ)を付けた職員が往来しているので
誰が誰かわからないでしょう。
その中には、医療や福祉をはじめ、様々な専門家の人がいますので、
必要なことは遠慮せずに相談しましょう。
でも、最初はわけもわからず、
どんな相談をだれにしたらいいかわからないでしょう。
そんなときは
市役所の職員の人に総合的な相談をしよう。
(それもわからなかったら、ビブスをつけた人に誰でもいいので
「相談したいんですけど」と声をかけたら案内してくれます。)
また、これまでの災害で多くの避難所では
「なんでも相談窓口」など、気軽に相談できる窓口が設置され、
そこに、交代で相談を聞いてくれる職員が詰め、いろいろな相談を聞いて
それを専門的な職員につなげていく支援がされていました。
これといったことじゃなくても、世間話でもいいからお話に行きましょう。
また、
ビブスをつけた市の職員が避難所の中や外を巡回して
「相談事はありませんか?」と聞いて回っていました。
来られたら、何でも構わないので相談しましょう。
避難所での支援チームの活動
避難所では
市役所や都道府県からの行政関係の人
医師や看護師、保健師などの医療関係の人、
社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、ケアマネなどの福祉関係の人、
警察、消防、自衛隊などの救護機関の人、
皆さんの食事や健康に気を使ってくれる管理栄養士
悩みを聴き、カウンセリングもしてくれる臨床心理士
生きる悩みを聴き、心のケア、スピリチュアルケアをしてくれる臨床宗教師
など、
さまざまな専門家の人々が、交代でネットワークを組んで支援にあたっています。
避難所では、
毎朝、毎夕、これらの専門チームがミーティングし
情報交換しています。
医療的なお世話をしてくれる専門職員
例えば、毎日飲んでいる持病の薬が切れそう、
症状が激しくなって苦しい、
そんなときは、
避難所に必ず、医師、看護師、保健師などの医療職員が詰めていますので
相談してください。
お薬は、なくなれば処方してもらえます。
また、
避難所では対応できない場合は、
福祉避難所などの設備の整ったところに移送してもらうことも考えられますので
遠慮せず相談し希望してください。
心のケアやカウンセリングをしてくれる相談員
何もしていないと、心配、不安ばかりで心がいっぱいになります。
そうした場合、よいことは何もありません。
心はとても大切です。
心の安心を確保することで
健康も維持できるし、
これからを乗り切るための見通しもできてきます。
災害が長引くときには
保健所や医療機関から派遣された
精神保健福祉士や、臨床心理士、看護師が
あなたのお話を聴いたりして
心を少しでも軽くしてくれます。
近年から、状況によっては
日本スピリチュアルケア学会から「臨床宗教師」も派遣され、
その人の信じる宗教的な悩みや、
生きることそれ自体への悩みも聞いてくださいます。
話を聴いてもらえることで、
あなたの不安は、
確実に
かくじつに
軽くなります。
長びく生活困難にアドバイスしてくれる専門員
災害の苦しみは、起こった時や直後だけではありません。
地震や浸水などがすっかりおさまった後も続きます。
このことがこれまであまり理解されていませんでした。
しかし、
思ってみてください、
災害で負傷して障害が残る、
家がつぶれる、住むところがなくなる、
働く場所がなくなる、
いろいろなことで、「暮らしづらさ」が続きます。
そこで力になってくれるのが
福祉関係の支援者です。
災害直後は、救急、救命が重要ですが、
そのあと、生活を維持し、
生活を立て直すことが必要です。
社会福祉士と精神保健福祉士に聞いてみよう
市町村にも都道府県にも、
また病院や福祉施設にも
「社会福祉士」や
「精神保健福祉士」が必ずいます。
社会福祉士と精神保健福祉士は、
生活に何らかの困難のある人の暮らしが守られるように働きかけ、
必要な支援や援助につなげ、
ネットワークをつくるという仕事をしています。
避難所にも、
必ず、ビブス(目立つ色のチョッキ)をつけた人の中に
社会福祉士や精神保健福祉士がいます。
今まであまり知られていませんでしたが、
市の職員に聞いたら、「あの人が社会福祉士だよ」「精神保健福祉士だよ」と教えてくれますので、
なんでもいいから相談してみてください。
必ずあなたのお役に立ちます。
もちろん彼らには「倫理綱領」があり、
個人情報や、あなたが他人に知られたくないプライバシーは厳守してくれます。
お食事の悩みを聴いてくれる管理栄養士や保健師
避難所では、毎日炊き出しが行われ、
ペットボトルのお水も配ってもらえます。
でも
特に子供なんか、好き嫌いがあるでしょう。
アレルギーがあって、食べられないものもある人もいるでしょう。
栄養面での心配も出てくると思います。
そんな悩みに答えられるように、必ず管理栄養士さんがいます。
管理栄養士さんが忙しくてつかまらない場合でも、
保健師さんや看護師さんがお話を聴いてくれます。
だから食事の悩みが出てきたら、相談しましょう。
日本語がよく分からない場合
また、海外から働きに来たり嫁いでこられた場合、
日本語がよくわからないこともあるでしょう。
ご家族に、日本語が分からずに困っている方がいる場合もあるでしょう。
そんな場合も心配しないで。
スタッフの中に、話を聴いてくれる人がいるので
まずはスタッフに相談しよう。
もし外国語が話せるスタッフがすぐに見つからない場合でも大丈夫。
災害支援の研修を受けているスタッフは、
わかりやすい日本語やジェスチャーで
親切に支援してくれるよ。
ハラスメント、人権に関する相談も
また、
とても重要なことに、ハラスメントや人権に関する悩みがあります。
いろいろな家族や人々が、同じ場所に暮らす避難所では、
いじめや偏見、冷たい視線、嫌がらせと思えるような態度
そんな問題が起こりえます。
まして
コロナウイルスの疑いや疑心暗鬼が高まれば
こういう問題が一気に出てきかねません。
こういう事を感じて、辛くなった時、
相手に直接抗議したり口論するのではなく
避難所スタッフに相談してください。
つらいと感じたなら、あなたには
人権に関する相談をする権利があります。
あなたの権利は当然守られます。
また、男女が同時に生活する避難所で特に注意したいのは
女性に対する視線や不快な行動です。
もちろん、更衣スペースや授乳スペースは当然確保されますが、
ジェンダーの問題や
プライバシーが侵害されていると感じたならば、
遠慮なく避難所スタッフに相談してください。
必要な対策はすぐに講じられます。
弁護士会(法テラス)等も活用しよう
また、法的な支援や、
受けられる給付、
税金や費用などの減免など、
専門家が無料で相談に乗ってくれます。
災害時には、弁護士会、司法書士会、社会保険労務士会などの専門団体が
ボランティアで支援していますので、ぜひ相談してみてください。
住宅ローンの問題なども災害時にはよく相談されます。
災害時でない平時でも、
「法テラス」という弁護士の組織が
生活に困っていて相談費用がない人に対する配慮をしていますので
アクセスしてみてください。
「法テラス」です。
また、関東弁護士会で、利用できる制度についてコンパクトにまとめたリーフレットがあります。
この写真のものですが
こちらのURLからPDFをダウンロードしてください。
http://naganokai.com/wp-content/uploads/2017/12/dbf5c0dfdf24aea6f8cab4a8580b9da6.pdf
内閣府もパンフレットを出していますので
ぜひこちらから参考にしてください。
http://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/pdf/kakusyuseido_tsuujou.pdf
この記事のまとめ
この記事では、避難所であなたが専門的な相談を受けるにはどうすればいいか
どんな人に相談できるかをお伝えしました。